各市区町村では、平成23年度を始期とする都道府県介護給付適正化計画(平成23〜26年度)に基づいて、今後、様々な取り組みを行っていきます。本会では、制度の持続可能性を望むと共に、福祉用具専門相談員の知識や技能を活かせる、適切なサービス提供環境の整備を望むことから、サービスの質の確保を目的に行われる介護給付適正化事業の効果に大いに期待しています。
福祉用具の適正な給付とは、ケアプランに基づき、ご利用者の相談に応じながら、真に自立に役立つ福祉用具を選定すること。導入にあたっては、その方の状態に応じて適合すると共に、正しく使用されるよう、説明を行うこと。その後、定期のモニタリングで継続的に、ご利用者を支援し、かつ、これらの一連の業務が計画的に行われることです。本会では、福祉用具専門相談員のこれらの業務が計画的に行われるよう、「
福祉用具個別援助計画書」を開発し、その普及・啓発に努めています。
福祉用具の選定や適合、モニタリングは、福祉用具専門相談員の中心的な業務ですが、福祉用具の事故が社会的に注目される中、特に事故防止に役立つ「モニタリング」の能力は、福祉用具専門相談員が有する職務遂行能力としては不可欠なものです。しかし、このモニタリングの能力は、どの分野でも同じですが、知識だけではなく、経験によって育まれるものなので、福祉用具専門相談員によって当然に格差はあります。本会では、これらの能力の差を縮め、可能な限り標準化することを目的に「
モニタリングシート」を開発し、その普及に努めています。
介護給付適正化事業のメニューには「福祉用具購入に係る訪問調査」がありますが、この「モニタリング能力」に着目し、福祉用具専門相談員を調査員として、事業を展開している
世田谷区の事例などもあります。この訪問調査では、購入に限らずレンタルも含めた不適切な給付の発見や、不適正な事業所等への牽制効果はもとより、対象となった福祉用具専門相談員等に対して、適切な給付のための効果的な指導や助言を行えます。一方、調査員は、公的活動に参加することで、改めて介護給付サービスを担う専門職としての自覚が促され、この福祉用具専門相談員を通じて、地域における福祉用具の適切な給付環境の整備を図ることが期待できます。
各市区町村におかれましては、介護給付適正化事業において「福祉用具購入に係る訪問調査」を実施する場合、福祉用具の技術的な調査のパートナーとして、福祉用具専門相談員の活用をご検討頂ければ幸いです。本会では、福祉用具専門相談員がこのような訪問調査に参加することで、より一層のモニタリング能力が向上し、かつその社会的評価も高まることを期待しています。