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福祉用具の事故防止に向けた取り組み

福祉用具関係者の皆様へ 介護ベッド用手すりの安全点検
モニタリングと事故防止
職種間連携による事故予防
適正化と事故防止

定期的な「モニタリング」に実施が福祉用具の事故を防止する 〜高齢者が福祉用具を安全に 安心してご利用いただくために〜

本会では、福祉用具による事故が社会的関心を集める中、平成22年度に生活協同組合からの助成を受け、「モニタリング」の普及・啓発パンフレットを作成。事故の防止に向けて関係者に定期のモニタリングの実施を求めてきました。そして、指定基準の改正により、平成24年4月から福祉用具専門相談員には、福祉用具サービス計画の作成とともに、「モニタリング」の実施が義務づけられました。今回の改正では、モニタリングの頻度は法定化されませんでしたが、個々のご利用者の状況に応じて、適切な時期にモニタリングを実施して、ご利用者が安心して福祉用具を利用できるよう支援することが強く求められています。

福祉用具の事故防止には、福祉用具専門相談員による適切なモニタリングの実施が不可欠です。

福祉用具は、高齢者の自立支援及び介護負担の軽減に役立ちます。しかし、使い方が正しくなかったり、身体状況に合わない福祉用具を使う、又はメンテナンスを怠ったりすると、事故が発生してしまうケースがあります。それを防ぐために、福祉用具専門相談員は普段から導入時に利用計画を立て、それに基づく定期の「モニタリング(訪問確認)」を行っていく必要があります。使用状況の確認や、心身状態・生活環境に変化がないか、福祉用具に異常がないかなど確認・点検を行っていくことで、事故の可能性に気づき、未然の防止につなげていくことができるでしょう。

例えばこんな事故では。

座位が保てずバランスを崩して倒れた際、 2本のサイド レールの隙間に首を挟み込んだ
適切なモニタリングをしていれば?? 定期的なモニタリングにより、身体機能が低下し座位保持が困難になっていることに気付いていれば、ご家族への注意喚起や、上半身の体位保持のためのポジショニングクッションの導入提案などができたかもしれません。また、メーカー提供の挟み込み防止の安全対策部品を、取り付けるよう注意を促せたかもしれません。
電動車いすで走行中、操作を誤り、道路下の用水路に転落した
適切なモニタリングをしていれば?? 導入時の説明だけでは正しい使用方法をご理解いただけないこともあります。また、認知症などにより、これまで使用していたものが使えなくなることもあります。適切にモニタリングを行っていれば、誤使用に気付き、使用方法の再説明もできたでしょう。また、やむを得ない場合は、ケアマネジャーと相談の上、電動車いすの解約の提案もできたかもしれません。
車いすの空気圧が不足していたため、ブレーキが かからず、転倒した
適切なモニタリングをしていれば?? モニタリングでは、ご利用者の状況変化の確認だけでなく、福祉用具の点検もまた、事故予防につながる大切な要素となります。長期の使用では、メンテナンスが必要です。モニタリングの際、空気圧を調整していれば事故は防げたかもしれません。また、普段からご利用者・ご家族と関わることで、利用時の違和感などもご相談いただけたかもしれません。
事故情報についてはこちらのホームページもご参照ください。
http://www.jaspa.gr.jp/accident/index.html
日本福祉用具・生活支援用具協会(JASPA)の事故情報ページです。消費生活用製品安全法及び消費者安全法などの規定に基づき消費者庁に報告された重大事故のうち、福祉用具関連のみが抜粋・掲載されています。

適切なモニタリングの実施には「福祉用具サービス計画書」「モニタリングシート」が必要です。

福祉用具サービス計画書とモニタリングシート
「福祉用具サービス計画書」は、アセスメントによる課題分析の上、福祉用具としての利用目標を設定し、これを実現するための計画書。ケアプランの援助目標に基くものです。また「モニタリングシート」は、実際のサービス提供後、この利用目標が達成されているか、利用状況の確認を行なうためのシートです。達成されていない場合、再アセスメントを行い、計画の見直し、適切なサービスの提供につなげます。適切なサービスの提供環境の整備のためにも、保険者やケアマネジャーなど関係者の協力が必要といえます。
モニタリングシートと事故防止
福祉用具による事故防止には、定期のモニタリングを適切に実施する必要があります。一方、福祉用具専門相談員には、経験年数の違いなどにより、潜在化する事故のリスクを発見する能力にも格差があります。福祉用具サービス計画書に基いて作成する「モニタリングシート」は、これらの能力差を縮め、標準化する機能もあります。「モニタリングシート」を使って、適切なモニタリングを行うことが、事故防止に役立つといえるでしょう。

モニタリングの実施で安全に役立った数多くの事例があります。介護給付適正化事業などへの活用事例も増えています。

一般の商品、例えば電化製品であれば、メーカーや販売店は、ユーザーの要請に応えて点検や修理を行います。しかし、福祉用具の利用者は一般の消費者とは異なり、心身の機能が低下し、一部には判断力が著しく低下した方もいるなど、特別な支援を要する消費者です。従って、福祉用具専門相談員は、利用者の要請を待つだけではなく、積極的に利用者と関わりをもち、安全を確保していかなければなりません。定期のモニタリングが必要なのは、このためでもあります。本会には、モニタリングシートを使った関係者から事故防止に役立ったという意見が多数寄せられています。また、保険者が介護給付適正化事業に活用する事例など、様々な利用方法も出てきました。本会では、今後とも普及・啓発に努め、少しでも事故の防止に役立ち、もって高齢者の福祉の増進に貢献していきたいと考えています。

「モニタリングの効果」

福祉用具専門相談員が、訪問時のモニタリングを行ったことにより、実際に事故を未然に防ぐことができた事例があります。また、事故ばかりでなく、心身状態の維持・向上にも効果を発揮しています。
  • ●車いすを導入したが、数ヶ月後モニタリングを行ったところ、導入時の設定では座位保持が困難になっていた。状態の変化に合わせた再設定により座位が安定し、二次障害を防ぐとともに、快適に使用することができるようになった。
  • ●停電により、エアマットの空気圧の設定がリセットされた状態になっていたが、訪問時のモニタリングにより誤りに気づき、床ずれの発生を未然に防ぐことができた。
  • ●ベッドから車いすへの据え置き型リフトを利用していたが、訪問しモニタリングしたところ、スリングシートが破れていることに気がついた。再購入を提案し、落下を未然に防ぐことができた。
  • ●スライディングボードを利用し、2モーターベッド(背上げ、高さ調整機能)から車いすへの移乗を行っていたが、モニタリングしたところ、身体状況が向上し、スライディングボードを使わずに移乗ができるようになっていた。スライディングボードを解約、ベッドを1モーター(背上げ機能)に変更することで、自立につながった。
 
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